涅槃会(ねはんえ)とは、仏教を開かれたお釈迦さまがこの世での命を終え、
涅槃に入られたことを偲ぶ法要です。
毎年2月15日に行われ、多くのお寺で静かに、そして大切に営まれています。
「涅槃」とは、すべての迷いや苦しみから解き放たれた、安らぎの境地を意味します。
そのため涅槃会は、ただ悲しみを表す行事ではなく、
命の尊さや、仏さまの教えの深さにあらためて心を向ける時間でもあります。
涅槃会の際には、「涅槃図」と呼ばれる絵が掲げられることがあります。
そこには、横たわるお釈迦さまを中心に、弟子たちや多くの人々、
さらには動物たちまでが集い、別れを惜しむ姿が描かれています。
その光景からは、すべての命がつながり合い、支え合って生きていることが、やさしく伝わってきます。
お釈迦さまは最期のときまで、人々に生きる指針を示されました。
「自分自身をよりどころとして、正しく生きなさい」という教えは、
時代を超えて、今を生きる私たちの心にもそっと寄り添ってくれます。
忙しい日々の中では、立ち止まって自分の心を見つめる時間を持つことは、なかなか難しいものです。
涅槃会は、静かなひとときの中で、今ここにある命や、支えてくれる人々への感謝を思い出す、
そんな機会を与えてくれる仏教行事なのかもしれません。
涅槃像は、お釈迦さまが亡くなられた「直前から入滅のとき」を表したお姿です。
涅槃像に表されているお釈迦さまは、沙羅双樹(さらそうじゅ)の下で、
右脇を下にして横たわり、静かに最期のときを迎えられるお姿です。
これは、病や苦しみによって倒れた姿ではなく、心安らかに、穏やかに入滅へ向かわれるお姿を表しています。
そのため涅槃像は、「亡くなった後」だけを表すものではなく、
この世での命を終えようとされる直前から
悟りの境地に入られた瞬間を象徴していると考えられています。
また、涅槃像のお顔がやさしく、微笑んでいるように見えることが多いのも、
苦しみではなく、迷いを離れた安らぎの境地を示しているためです。
ここには、死を悲しみとしてのみ捉えるのではなく、
仏の教えが永く生き続けていくことを伝える意味が込められています。
お寺の涅槃会などで涅槃像や涅槃図をご覧になる際には、
「最期まで人々を導こうとされたお釈迦さまのお姿」
として、静かに手を合わせていただければと思います。

