こんにちは。福岡の老舗仏具店うめたにのブログ担当です。
私事で恐縮ですが、先日、家族で菩提寺に集まり、大切な家族の一周忌法要を執り行っていただきました。
無事に法要を終え、張り詰めていた気持ちが少しホッとしたとき、ご住職が私たち家族に向けて、本堂のご本尊である阿弥陀様を見上げながら大変深く、心温まるお話を聞かせてくださいました。
皆さんは、お寺の本堂に安置されている「阿弥陀様(阿弥陀如来立像)」を横からじっくりとご覧になったことはありますでしょうか?
実は、「浄土宗」と「浄土真宗」のお寺では本堂の阿弥陀様の「前傾姿勢(お体の傾き)」に大きな違いがあるのです。
今回は、ご住職から伺った素敵なお話を交えながら、その理由について分かりやすく解説します。
1. 浄土真宗の阿弥陀様が「前に傾いている」理由
浄土真宗のお寺の本堂に上がらせていただき、ご本尊の阿弥陀様を横から見ると驚くほど前方にスラリと傾いていることが分かります。
「なぜ、まっすぐ立っていないのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
法要の際、ご住職はこう教えてくださいました。
住職から伺った、法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)の物語
「阿弥陀様はね、最初から完璧な仏様だったわけではないのです。
かつては『法蔵菩薩』という名で、修行をされているお姿でした。
法蔵菩薩は『どうしたら、生きることに苦しむすべての人を漏れなく救えるだろうか』と気の遠くなるような長い時間、考え、考え、考え続けられました。
戒律を守れる強い人だけでなく、罪を犯してしまう弱い人、悩めるすべての人をそのまま救うにはどうすればいいか……。
苦悩の果てにたどり着いたのが
『南無阿弥陀仏と称えるものは、どんな人でも、今そのままで救う』という誓い(本願)でした。
だから、浄土真宗の阿弥陀様は、
私たちが苦しんでいるのを見て、座っていられずに立ち上がり『今、いつでも助けに行くぞ!』と一歩を踏み出しこちらへ倒れ込むように前傾されているのです」
このお話を聞いたとき、私は思わず胸が熱くなりました。
あの前傾姿勢は、ただのデザインではなく「一秒でも早く、あなたをそのまま抱きしめて救いたい」という阿弥陀様の緊迫感と慈悲の表れだったのですね。
2. 浄土宗と浄土真宗の「阿弥陀様」の違い
では、同じ阿弥陀様を本尊とする「浄土宗」とお寺の本尊を見比べたとき、何が違うのでしょうか?
それは、両宗派の「救いのタイミング(教え)」の違いにあります。
●比較ポイント
お姿(傾き)
足元の特徴
救うタイミング
浄土宗のお寺(本堂の本尊)
まっすぐ、または緩やかな前傾
両足でしっかり立っている
「来迎(らいごう)」
臨終のときに迎えに来てくれる
浄土真宗のお寺(本堂の本尊)
肉眼でハッキリわかるほど前傾している
左足を半歩前に踏み出している
「直行(ちょっこう)」|
南無阿弥陀仏と信じた「今」救われる
●浄土宗:穏やかにお迎えを待つお姿
浄土宗では、一生懸命にお念仏を唱え、人生の最期を迎えるその時に、阿弥陀様がはるばる西方極楽浄土から「お迎え」に来てくださると考えます(来迎)。そのため、お寺の阿弥陀様も、これからお迎えに出発しようとされる、あるいは静かに佇まれる落ち着いたお姿をしています。
●浄土真宗:今すぐ飛び込んでくるお姿
一方で浄土真宗は、亡くなった時ではなく、生きている「今」お念仏を信じた瞬間に救いが定まると考えます。ご住職のお話にあったように、「一刻も猶予はない、今すぐ助ける!」と、我が子に向かって飛び込もうとする躍動的なお姿なのです。
3. 知っておきたい、お仏壇への「ご本尊」の迎え方
ここで、一つ大切なポイントがあります。
お寺の本堂では、このような立派な「お木像(仏像)」の阿弥陀様が迎えてくださいますが
ご自宅の「浄土真宗」のお仏壇にお迎えする場合、基本的には仏像は安置しません。
浄土真宗では、京都のご本山(西本願寺・東本願寺)から授与された
「お掛け軸(絵像)」をご本尊としてお祀りするのが正式な形とされています。
お仏壇のサイズに合わせたお掛軸を手配する際は、まずは菩提寺にご相談ください。
当店でもお寺様の許可を得て、本山へのお取次ぎ、準備のお手伝いをさせていただく場合もございます。
どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ:今度のお参りは、ぜひ「横から」拝んでみてください。
ご自宅のお仏壇でお掛け軸の阿弥陀様に向かって手を合わせる日々も素晴らしいものです。
そして、お盆や法要などでお寺の本堂へ足を運ばれた際は、ぜひ少し横に回って、ご本尊の阿弥陀様を眺めてみてください。
「ああ、本当に倒れそうなほど前傾して、私を助けようとしてくださっているんだな」
ご住職からお伺いした法蔵菩薩の物語を思い出しながら拝むと
いつものお寺の風景が、より一層温かくありがたいものに感じられるはずです。
当店では、お仏壇や仏事に関するご相談など、お寺様とのつながりを大切にしながらサポートを承っております。
わからないことがあれば、いつでも店舗スタッフまでお声がけください。
